ディズニー映画「ポカホンタス」に思う事

その当時私は中学生だったのですが、90年代から「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」「ライオン・キング」とヒットが続いて、ディズニーのアニメ映画は復活黄金期を迎えていました。その後、製作陣は「大人にも訴える作品を」と方針を変え、『大人向け三部作』を展開したのです。その一作目が「ポカホンタス」でした。

これは17世紀初め、アメリカ東海岸に入植を始めようとする英国人と、ネイティブアメリカ人の間に起こった実話が元になっています。未開人を制覇しようと冒険に乗り出した英国軍人が、現地の女性と運命の恋に落ちてしまう。彼女は思い描いた「野蛮人」のイメージとは程遠く、彼はやがてそのポカホンタス姫を通し、ネイティブアメリカンの持つ叡智に気がつく…というストーリーでした。

この作品、実は一般的な評価は高くありません。現代ネイティブアメリカンの団体からも「祖先の姿を正しく描いていない」と酷評されましたし、興行成績もふるいませんでした。

ですが、私はこの映画を一番愛おしいディズニー映画、ととらえています。これを劇場で観た時、「大人になりかけていた」私は、とらえがたい感情に襲われ、美しい音楽と画像の渦に巻き込まれて思わず涙を流したのです。恋とは何か。その恋がふたつの世界、全く異なる世界をまたがったものであった時に、私たちは厳しい選択に迫られるであろうし、そして大切なものを失う場合がある。恋は楽しく、喜ばしいばかりのものではない…そんな風にぼんやりと思ったのです。

以降、実在したポカホンタス姫の事を調べました。研究書なども読んだのですが、17世紀という時代にあって(映画以上の)波乱万丈の人生を送った彼女に、感銘を受けました。

時が経ち、気がつけば自分自身国際結婚して、日本から遥かに離れた土地に暮らしています。価値観も慣習も全く異なる配偶者と結婚し、時にその違いから悲痛な気持ちになることも少なくはありません。そんな時に思い返すのは、若い頃に観た「ポカホンタス」、そして実在の姫のことです。よく考えると、すでに自分の未来を予見してあったような、そんな風に切なく思い返す、大切な映画作品です。